2023年の7月28日に発売されたSONYのAPS-Cカメラのフラッグシップ【A6700】。
それまで、一眼どころかコンデジもほぼ触ったことのなかった私だが、新婚旅行でドイツ旅行へ行くのに併せて、旅先の風景を切りたいと思い購入した。
それ以降も趣味のドライブと合わせることで、ドライブ先で愛車や風景を撮影したりと何だかんだ写活に有効活用している。
元々、プレステ等でソニー製品に触れる事も多く、また、カメラ愛好家からもそつがない優等生なマシンと言われていたこともあり、SONY製のカメラを選んだ次第だが、今回はそんな【A6700】に関して、アマチュアの趣味で扱う視点でレビューをしていきたいと思う。
α6700の概要

◆α6700の諸元
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| センサーサイズ | APS-Cサイズ (23.3 × 15.5 mm) |
| 映像素子 | 裏面照射型「Exmor R」CMOSセンサー |
| 有効画素数 | 約2600万画素 |
| 画像処理エンジン | BIONZ XR(+ AIプロセッシングユニット) |
| AF測距点 | 最大759点 (位相差検出方式) |
| 手ブレ補正 | 光学式5軸ボディ内手ブレ補正(5.0段) |
| 連続撮影速度 | 最高約11コマ/秒 |
| 常用ISO感度 | ISO100~32000 |
| 動画性能 | 最大4K 120p / 10-bit 4:2:2対応 |
| 背面モニター | 3.0型 バリアングル液晶(約104万ドット) |
| ファインダー | 0.39型 電子式ビューファインダー(約236万ドット) |
| 記録メディア | SDカード(UHS-II対応・シングルスロット) |
| バッテリー | NP-FZ100 |
| 外形寸法 (幅×高さ×奥行) | 約122.0 × 69.0 × 75.1 mm |
| 質量 (バッテリー等含む) | 約493g |
新世代の頭脳がもたらす、研ぎ澄まされた基本性能

この小さなボディには、ソニーがフルサイズ機で培ってきた最先端の技術が惜しみなく注ぎ込まれている。
心臓部には、光をより効率的に取り込める裏面照射型の有効約2600万画素「Exmor R」CMOSセンサーを採用。
そして、その情報を瞬時に処理する頭脳として、最新の画像処理エンジン「BIONZ XR」が搭載された。
従来機比で最大約8倍という圧倒的な処理能力を手に入れたことで、単に画素数が増えただけでなく、豊かな階調表現や忠実な色再現、そして暗所でのノイズ低減といった「画質の底上げ」が図られている。
シャッターを切った瞬間、目の前の光景がクリアで立体感のあるデータとして結実する快感は、この強力な頭脳の賜物である。

想像を超える「AIプロセッシングユニット」の眼差し

特筆すべきは、フルサイズ上位機「α7R V」と同等の「AIプロセッシングユニット」を搭載したことだ。
これは単に「顔や瞳を見つける」という次元の話ではない。
ディープラーニング技術により、人間の骨格情報や姿勢までを推定し、後ろを向いたり激しく動いたりしても、執拗に被写体を追い続ける。
さらにその認識対象は、人物や犬猫などの動物にとどまらず、鳥、昆虫、車、列車、飛行機にまで及ぶ。
画面の約93%という広大な領域をカバーする最大759点の位相差AFセンサーが、AIの指示に呼応して瞬時にピントを合わせる。
EV-3という肉眼でも厳しい暗闇の中でも正確に被写体を捉えるその様は、まるでカメラ自身が意思を持って被写体を凝視しているかのようだ。

映像クリエイターを唸らせる、妥協なき動画スペック
動画性能においても、α6700はAPS-C機の常識を覆す。
6K相当の膨大な情報からオーバーサンプリングされる高精細な4K60p記録はもちろん、最大4K120p(約1.6倍の画角クロップあり)による滑らかなハイフレームレート撮影にも対応している。
さらに、10億色以上の色情報を記録できる「10-bit 4:2:2」での記録に対応している点は、後から色を調整するカラーグレーディングにおいて圧倒的なアドバンテージとなる。
動画専用機「FX30」に迫るこれらのスペックは、本格的なシネマライクな映像作品を作りたいというクリエイターの要求にも、余裕で応えてくれるはずだ。
手のひらに馴染む、洗練された操作インターフェース

α6700は、ハードウェアの操作性も大きく洗練された。
グリップはより深く、手に吸い付くようなホールド感を実現しており、大きめの望遠レンズを装着しても重量バランスが崩れにくい。
また、α6000シリーズでは念願となる「前ダイヤル」が追加されたことで、ファインダーから目を離さずに直感的な露出コントロールが可能になった。
さらに、最新のメニュー画面とタッチ操作対応のバリアングル液晶モニターを採用し、極端なローアングルやハイアングル、自撮りなど、自由な視点からの撮影も思いのままである。
APS-C機であるA6700を選んだ理由
正直、一眼と言えばフルサイズがまずは筆頭にあがるが、そうではなくなぜAPS-C機を選んだのか。
値段・性能・コスパ等々思う所があるが、順番に掘り下げていきたいと思う。
圧倒的コストパフォーマンス
フルサイズかAPS-Cかで迷うとして、真っ先に比較するのが正直に言って値段だろう。
当然、私もフルサイズかAPS-Cかで迷った訳だが、こと初心者が仕事ではなく趣味で…しかもSNSに対して上げるわけもなく個人で楽しむ分にはAPS-Cで十分ではと思った次第である。
ちなみに価格については、今回選んだA6700と、フルサイズのα7C Ⅱとでは価格ドットコムの執筆時点最安値は下記の通りとなっている。
- A6700:175,620円
- α7C Ⅱ:219,000円
正直、本体の価格差で言えば5万円差もない程度なのでスペックだけで言えばフルサイズのα7C Ⅱも十分選択肢に入る。
ただ、フルサイズ機はレンズ代もAPS-C機と比べると高額になる点も踏まえると、私の使用用途ではコストパフォーマンスはA6700が勝ると考える。
軽量・小型という武器

APS-C or フルサイズでもう一つ大きな論点となるのが、機動力だろう。
フルサイズ機「α7C Ⅱ」の豊かなボケ感と高画質には大いに惹かれたが、同時にレンズを含めたシステム全体の重量という点も考慮する必要がある。
APS-Cのα6700の重量はバッテリーを含めても約493gに対して、α7C Ⅱのバッテリー込みの重量は514gと20g差ではあるが、ここにレンズの重量が載ってくる。
当然、APS-C用とフルサイズ用ではレンズの重量も変わるため、その重量差は大きく変わってくる。
勿論、全体のサイズ感としても小型となる。
そのため、長時間のスナップや旅行でも肩に食い込む疲労感も軽減される。
カメラにとって、重量とサイズというのも重要なスペックの一つ(二つか?)であると個人的には考えている。
その意味では、私の使い方においては、機動力に優れるAPS-C機のα6700の方が勝っていると考えて選ぶことにした。
使ってみた感想
私は主にα6700をドライブの際に、クルマのトランクに積み込んで、ドライブ先の風景を切り取ったり、愛車自体を撮影したりという使い方をしている。
そのため、被写体はもっぱらクルマや風景・構造物・草花といった具合であり、人を撮影することは滅多にない。
そんな使用シーンの中で感じた感想について、したためたいと思う。
必要十分な質感ある写真
フルサイズ機の豊かなボケや絶対的な解像感には一歩譲るかもしれないが、α6700が描き出す画質は、日常や旅行の記録としては必要十分を遥かに超えている。
スマホで撮影するのとは素人の腕前ながら雲泥の差である
実家の愛犬を撮影した時の毛の1本1本まで表現されるかの様なフワフワの質感や、愛車を撮影した時に細部の形状までディテールを繊細に描写する能力。
風景を撮影した際のパキッとした輪郭がハッキリした描写や奥行感もやはり一眼カメラならではだと素人目に見ても感じる。
当然、F値を低くして撮影すれば、ボケ感も綺麗に生まれてくれる。
まさに、「これで十分」と思わせてくれる頼もしい描写力が備わっている様に感じる。


多岐に渡る認識対象のオートフォーカス
正直カメラを扱うにあたってはピント合わせという作業には少し抵抗というか、難しそうなイメージを抱いていた。
しかし、α6700は前述の通りAIプロセッシングユニットが搭載されており、人や動物は勿論、車両類も対象となっている。
私個人としては、クルマが好きな事もあり、愛車やサーキットを走行するマシンを撮影することもあるため、地味に認識対象に車両が含まれているのは嬉しいところである。
そのため、あらかじめ撮影対象に合わせて認識を設定しておけば、AIオートフォーカスが助けてくれるため、ピント調整に気を割くことなくファインダーを覗きながら光の当たり方や構図に集中することができる。

使い勝手のよいインターフェイス

ストレスない使い勝手がよい操作性能も、α6700の特徴だと感じる。
α6000シリーズとしては初となる前ダイヤルにより、ファインダーから目を離すことなく、人差し指で絞りを調整できるのはありがたい。
背面に配置された【Fn】(ファンクションボタン)により、測光モードやAF認識対象、サイレントモードON/OFFなど頻繁に扱う機能を瞬時に呼び出せるのも使いやすい。
また、自由に角度を変えられるタッチ操作対応のバリアングル液晶モニターも非常に便利だ。
クルマを撮影する際なんかは迫力感を出すために、地面スレスレからの極端なローアングルから狙う時もあるが、バリアアングルのお陰でファインダーを覗かずとも構図を微調整することが出来るため、ここも非常に扱いやすいポイントだと感じている。

この洗練されたインターフェースは、単なるスペック以上の一眼カメラを操る楽しさをもたらしてくれる様に思う。
身体の一部になる「取り回しのしやすさ」と頼れるスタミナ
前述の通り、カメラにおいて「軽さ」は正義だが、ただ軽ければ良いというものでもない。
現場仕事で使うようなちゃちなコンデジの様にのっぺりしたボディではなく、手にした時の「しっくり感」も乗用だ。
α6700はバッテリーとメモリーカードを含めても約493gという軽量さもさることながら、もう一つ特筆すべきは深く設計されたグリップだろう。
この絶妙な形状により、少し重め70-350mmなどの望遠レンズを装着しても極端なフロントヘビーにならず、手首にかかる負担が少ない。
さらに、このコンパクトな筐体の中に、フルサイズ機と同じ大容量バッテリー「NP-FZ100」が収まっている。
半日カメラをもって歩き回り、写真を撮るくらいであればバッテリー残量に怯えることもない。
購入時に念のため予備バッテリーを買ったが、ほぼ使わず仕舞となっている。
実際に所有しているレンズ
以下に、私が所有している3本のレンズと共にその作例を少しだけ載せておく。
APS-C用だけあって、どのレンズも軽量コンパクトだが撮れる絵はどれも一眼らしい高精細で色彩豊かなものになる。
より詳細なレンズのレビューは下記記事を参照頂ければ幸いだ。

SIGMA 18-50mm F2.8 DC DN|日常をドラマにする圧倒的コンパクト

このカメラにほぼ装着しっぱなしにしているのが、このSIGMA製標準ズームレンズだ。
フルサイズ換算で27-75mm相当という使い勝手の良い画角をカバーしながら、ズーム全域でF2.8という明るさを保ついわゆる大三元レンズだ。
ズームしても暗くならないため、室内や夕暮れ時でもノイズを抑えたクリアな写真が撮れる。
特筆すべきはその軽さだ。
わずか約290gという重量は、α6700の軽量ボディと完璧なバランスを保ち、長時間のスナップでも疲労を感じさせない。
さらに、広角側の最短撮影距離は約12.1cmと、レンズの先端がぶつかるほど被写体に肉薄できる。
カフェでのテーブルフォトでも、被写体にグッと寄りつつ背景をふんわりとボカすことで、見慣れた日常風景をドラマチックな一枚へと昇華してくれる非常に使い勝手の良い1本となっている。
また、サードパーティ製なため、SONY純正の同等性能レンズと比べて安価なのも大きい。


SONY E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS|非日常を引き寄せる超望遠の魔法

肉眼では見えない世界を切り取るために欠かせないのが、この超望遠ズームである。
フルサイズ換算で最大525mm相当という圧倒的な望遠域に達しながら、約625gという手持ちで振り回せる軽さを実現している。
フルサイズのレンズで500mmレベルとなるとバズーカの様なデカいレンズで数kgの重さとなるため、やはりAPS-Cレンズの機動性の良さは光る。
このレンズの真骨頂は、やはりα6700の「AIプロセッシングユニット」と組み合わせた時の性能だろう。
ソニー純正のXDリニアモーターによる俊敏なピント合わせは、遠くを飛ぶ飛行機やサーキットを高速でかけるマシン等もファインダー内に捉えさえすれば、あとはカメラが執拗にピントを合わせ続けてくれる。
さらに、月にレンズを向ければ、月面のクレーターがくっきりと写るくらいの望遠性能と高精細な写真を撮る事すら出来る。
レンズ内蔵の光学式手ブレ補正(OSS)がシビアな望遠撮影をサポートしてくれるため、遥か彼方の非日常を手元に引き寄せる快感にどっぷりと浸ることができる、まさに一眼の真骨頂を感じられる一本だ。


SONY E 15mm F1.4 G|暗闇を切り裂く、極上の広角単焦点

圧倒的な明るさと広がりを求めて手にしたのが、換算22.5mm相当の画角を持つこの広角単焦点レンズだ。
重量はわずか約219gと驚異的に軽いにもかかわらず、開放F1.4という強烈な明るさを誇る。
F1.4のレンズは、光をたっぷりと取り込めるため、星空や夜景のような暗所撮影でもISO感度を無理に上げる必要がない。
また、レンズ内手ブレ補正こそないものの、広角かつSONY純正ということもあり、ボディの手ブレ補正機能と相性がよく、ジンバルがなくともVlogなどの動画撮影にも使いやすいレンズとなっている。


おわりに
2023年の発売から数年が経過した現在でも、α6700の魅力が色褪せることは全くないように思う。
SONYがフルサイズ機で培った最先端技術を惜しみなく注ぎ込んだ「APS-Cの完成形」と呼べる存在ゆえ、素人でもスマホで撮る以上の質感を簡単に実現できるものとなっている。
被写体の骨格や姿勢までを推定し、一度捉えたら執拗に追い続ける「AIプロセッシングユニット」による異次元のAF性能。
そして、約10億色という膨大な色情報で滑らかなグラデーションを描く「10-bit 4:2:2」記録や、エモーショナルなスローモーション表現を可能にする「4K120p」対応といった、動画専用機に肉薄するシネマティックな動画性能。
これらは、2026年の第一線においても十二分に通用する、極めて強力な武器だろう。
写真を撮るという行為をファインダーを通して、シャッターボタンを押すだけでここまで楽しく奥深いものにさせてくれるα6700は、これから先も長く付き合っていける、間違いのない名機であると断言しよう。



