昨今、プレミアムブランドの中国への熱意は凄まじいものがある。
2026年7月27日、BMWが中国専売モデルとして、ノイエクラッセモデルの新型BMW X5 およびiX5のロングホイールベースを発表した。
単にホイールベースを延長しただけの派生モデルではなく、現地の嗜好を徹底的に研究して専用設計された優美なエクステリアをはじめ、次世代モデル群「ノイエ・クラッセ」の先進技術が息づく、極上のくつろぎと最新デジタル体験を提供する室内空間が用意されたモデルとなっている。
本記事では、本日発表されたばかりの新型X5ロングホイールベースについて、触れていきたいと思う。
中国市場のために誕生!新型BMW X5ロングホイールベースとは?
中国市場のプレミアムSUVセグメントにおいて、BMWがまた一つ新たな基準を打ち立てようとしている。
それが、中国市場のニーズを徹底的に分析し、独自のモデルとして誕生した「新型BMW X5 / iX5 ロングホイールベース」である。単なるストレッチ版にとどまらない、BMWの野心が詰まったこのモデルについて見て行こう。
快適性を極めた「130mm」のホイールベース延長

このモデルの最大の特徴であり、存在意義でもあるのが、世界市場で展開される通常のX5モデルから「130mm」延長されたホイールベースである。
この延長により、ホイールベースの全長は堂々たる3,165mmに達した。
物理的にクルマの骨格が伸びたことで、直進安定性が向上し、より重厚でフラットな乗り味がもたらされる。
ある自動車ジャーナリストの方が表現していたが、船でイメージすると分かりやすい。
波を乗り越える時に小型の船なら大きく揺さぶられるが、大型船舶なら乗り越える時に衝撃は僅かになる。
このロングホイールベースになる事により、乗り心地は大きく向上することになるだろう。
何よりも特筆すべきは、後席のフットスペースが劇的に拡大された点だろう。
ショーファードリブンとしての需要も高い中国市場において、この広大な後席キャビンは、乗る者すべてに至福のリラックスタイムを提供することになりそうだ。

ガソリン車「X5」と完全電動車「iX5」のラインナップ
パワートレインの選択肢も、次世代を見据えた抜かりのない構成となっている。
長きにわたりBMWの「駆けぬける歓び」を支えてきた、熟成の内燃機関モデルである「X5」が投入されるのはもちろんのこと、今回初めて、完全電気自動車である「iX5」が同時にラインナップされたのだ。
これは、間違いなく中国市場における急速な電動化へのシフトに応えるものであるだろうし、BMWの革新的な最新電動テクノロジーが惜しみなく投入されていることだろう。
伝統のシルキーなエンジンフィールを味わうか、それとも次世代のシームレスでトルクフルなモーター駆動を選ぶか。
全く異なるアプローチでありながら、どちらを選んでもBMWならではの高次元なドライビング・ダイナミクスが担保されているという事実は、現地のクルマ好きの心を強く刺激してやまないだろう。
圧倒的な存在感を放つ中国モデル専用エクステリア

骨格の延長によって得られた優美なサイドプロポーションに加え、中国向けロングホイールベース・モデルには、現地の嗜好を色濃く反映した専用のエクステリアが与えられている。
単なる一部パーツの変更という枠を超え、クルマの「顔」とも言えるフロントエンド全体が、中国市場のためだけに特別に再設計されているのだ。
光が織りなす新世代のフロントフェイスとライト・デザイン

新型X5のフロントマスクと対峙してまず目を奪われるのは、先進的かつ鋭い眼光を放つ特徴的な対角線のライト・アイコン(デイタイム・ランニング・ライト)である。
また、オーナーのパーソナリティや好みに合わせて、よりアグレッシブで力強い表情を生み出す「ダブルXデザイン」のライト・アイコンを選択できる点だ。
そして、近年のBMWデザインにおいて強烈なアイデンティティとなっている、グリルそのものが発光するキドニー・アイコニック・グローも当然のごとく搭載されている。
この中国向けモデルではさらに、左右のライト・アイコンと中央のキドニーグリルを視覚的に結びつける帯状照明のライト・ストリップが新たに追加された。
これにより、フロントエンド全体に深い立体感が生まれ、夜間の路上においても一目でそれと分かる圧倒的なオーラを放つ。
さらに、ドアのロックやアンロックに連動して展開される「ウェルカム&グッバイ・アニメーション」の一部として、これらの光はダイナミックに脈打つように連動する。
静止している時でさえ、まるでクルマが意思を持ち、呼吸しているかのような生命感を演出し、オーナーを暖かく迎え入れる。
走りには無用の長物であるこういった演出に関しては賛否両論があるだろうが、プレミアムブランドとして中国向けにこういった情緒的な演出は、必須のものとなってきているのかもしれない。
「駆けぬける歓び」と中国専用の最先端AI運転支援システム
BMWの代名詞である「駆けぬける歓び」は、このロングホイールベース・モデルにおいて最新のテクノロジーと現地のニーズが融合することで、独自の進化を遂げている。
極上の乗り心地を約束するアダプティブ2軸エア・サスペンション

巨体を滑らかに走らせる要となるのが、全モデルに標準装備された「アダプティブ2軸エア・サスペンション」がある。
この高度なサスペンション・システムは、路面の凹凸を瞬時に読み取って衝撃を見事に吸収し、乗員に極上の乗り心地を提供する。
延長されたホイールベースの恩恵も相まって、まるで路面の上を滑空するかのようなフラットな姿勢を保つ一方で、いざステアリングを切り込めば、プレミアムSUVとは思えないBMWらしい俊敏な身のこなしを披露することだろう。
「Momenta」社と共同開発した中国専用の頭脳

さらに特筆すべきは、中国の複雑な交通環境に合わせて現地で独自に鍛え上げられた運転支援技術だ。
BMWは20年以上にわたって運転支援システムの開発を開拓してきた経験に加えて、現地の気鋭企業Momenta(モメンタ)社とタッグを組んだ。
現地の道路環境で学習させたエンドツーエンドのAIを活用することで、出発地から目的地までをシームレスに案内する「Address-to-Addressナビゲーションガイド」など、極めてインテリジェントな独自システムを実現している。
これにより、高速道路上だけでなく一般道路上でも交差点の右左折や信号待ちといった道路状況までもをナビのルートに沿ってシームレスにアシストしてくれる。
そして、この自動運転を司る中央コンピューターは、「Heart of Joy」と呼ばれる高性能コントロール・ユニットと綿密に連動する。
このユニットは、ドライブトレインやステアリング、ブレーキといったドライビング・ダイナミクスに関わるあらゆるパラメーターを統合制御するBMWの新たな「頭脳」で、AIの高度な判断と、ルマの動的制御が瞬時に同期することで、機械的な冷たさを感じさせない、人間の感性に寄り添った自然で滑らかな走りを可能にしているとのことだ。
おわりに

中国市場専用として誕生した新型BMW X5ロングホイールベース・モデルは、単なる居住性の拡大という枠を飛び越えている。
そこにあるのは、プレミアム市場における最先端のニーズと、BMWが長年培ってきたクルマづくりの哲学が、極めて高い次元で融合した新たなマスターピースである。
中国市場の熱量が引き出したプレミアムSUV像

「Exclusively for China, from China(中国で、中国のために)」というアプローチが象徴するように、このモデルは現地での専用設計や、中国企業とのAI運転支援システム共同開発など、独自の進化を遂げたモデルだ。
130mm延長されたホイールベースがもたらす優雅なプロポーションと至福の居住空間、脈打つように光る専用デザインのフロントフェイス、そして航続距離1,000km超を実現する第6世代「BMW eDriveテクノロジー」の搭載など、そのどれもが次世代プレミアムSUVにおける新たなベンチマークとなるポテンシャルを秘めている。
2027年の市場投入予定
この野心的な新型X5およびiX5の中国市場への投入は、2027年初頭に予定されている。
伝統の内燃機関が奏でる官能的なサウンドや鼓動を堪能するか、それとも完全電動モデル「iX5」が提示する静謐にしてダイナミックな未来の走りを選ぶか。
長大な大陸を横断するグランドツーリングから、都市部でのラグジュアリーなショーファードリブンまで、あらゆるシーンでオーナーの所有欲を刺激し満たしてくれる特別なSUVになるだろう。
残念に思うのは、プレミアムブランドがにらむのは既に私たちが住む日本ではなく、隣の大国中国となってしまったというところ。
正直、ここ十年あまりに中国の成長は凄まじく、一部のネット層は未だに下に見ている人もいるだろうが、私個人としては国力・技術力でも負けている様にあくまで肌感覚であるが感じている。
そんな憂いが最後となってしまったが、以上で締めさせていただきたいと思う。

