個人的に気になるクルマが今月2025年3月に発表された。
伝説のグループBマシンであるルノー5ターボの復刻モデルだ。個人的に当時のハッチバックは非常に好みなので、楽しみな1台である。
また、合わせて5ターボのベースとなった車両に関してもお話ししていきたいと思う。
ルノー5ターボの復刻モデルである【ターボ3E】が発表された
ルノー5について

ルノー5は、フランスの自動車メーカー「ルノー」が1972年に発売したコンパクトハッチバック。
シンプルで洗練されたデザインと実用性を兼ね備えたことから、多くのドライバーに愛されたモデルだった。
ルノー5は、都市向けのコンパクトなボディサイズで狭い道でも取り回しがしやすく、当時としてはモダンなエクステリアデザインから人気を博した。(FF駆動ながらエンジンが縦置きで、キャビン内に張り出して熱が籠るなどの問題はあった様だ…)
また、エンジンバリエーションも豊富で、最もベーシックなモデル【5L】の36PSから始まり、スポーティな走りを楽しめる様にアルピーヌが手を加えてターボチャージャーまでぶち込んで110PSを発揮する【5アルピーヌターボ】など、多彩なラインナップが揃えられていた。
こうした多様性もあって、ルノー5は初代が1972年~1985年・2代目が1984年~1996年と約25年間の長きにわたって支持され続けたモデルである。
伝説のラリーマシン【ルノー5ターボ】

ルノー5の話をする上で絶対に外せないのが5ターボの存在。
ルノー5ターボは、1980年に登場した高性能ホットハッチであり、ラリー参戦のホモロゲーションモデルとして販売された特別なモデルである。
通常のルノー5とは異なり、後部座席を取っ払って2シーターとした上で、そのスペースにエンジンをぶち込んでミッドシップレイアウトとした上で、後輪駆動にした中々に行かれたモデルだ。
外観も通常のルノー5とは大きく異なり、大型のオーバーフェンダーやダクト付きのボンネット、ワイドボディ仕様のリアフェンダーが特徴的の超攻撃的な見た目となっている。
私個人としては、ちっちゃくて速いクルマが好みなので、性癖にモロに刺さるクルマ。
実際、ラリーではコンペティションマシンの5MAXIターボとして、参戦して1980年~1986年までの7年間に渡って戦った。
時代としてはグループ4やグループBの時代…まさに伝説的なラリーマシンと言える。

そんな経歴のクルマであるため、レプリカではなく正真正銘のホモロゲーションモデルを手に入れようとすると、私が調べた限りだと新車のポルシェ911カレラGTSが丸々一台買えるくらいのお金が必要になる。高い。(いや、出自を考えるとむしろ安いか)
5ターボの復刻モデルはスーパーEVハッチバック

そしてつい先日の2025年3月17日に、ルノーは5ターボの復刻モデルとして【5ターボ3E】を発表した。このモデルは、【E】の文字から分かる様にオリジナルのルノー5ターボをベースにしながらも、電動化技術をフル採用し、現代的なパフォーマンスを実現したスーパーEVハッチバックである。
そのため、5ターボ3Eは従来のガソリンエンジンではなく、完全な電気自動車(BEV)となっている。
ガソリンエンジンでないのに、ターボとは?という声が聞こえてきそうだが、それを言うならポルシェのタイカンだってBEVなのにターボやターボSなどのモデルもある。
現代において、ターボは機構を示すものではなく、速さの象徴・記号みたいなものになってきたのかもしれない。
そんな5ターボ3Eは、後輪に2基のインホイールモーターを搭載し、最大トルクは4,800N・m(480N・mではなく、4,800N・m!)と文字通り桁違いのトルクで後輪をけり出して、0-100加速は3.5秒と従来のターボ車に遥かに凌駕する加速力を実現している。


デザイン面では、オリジナルのルノー5ターボの特徴を忠実に再現しつつ、モダンな要素を取り入れている様に感じる。
ワイドボディや大型エアインテークなど、当時のデザインを彷彿とさせる要素が随所に見られる。
ちなみに、全幅は2.03mとのこと。デカい。
一方で、LEDを多用したライトデザインやデジタルインストルメントパネルなど、最新技術を活かした装備も備えられており、クラシックとモダンが融合した一台となっている。



ルノー5ターボの伝説を現代に蘇らせる5ターボ3Eは、往年の名車を愛する層だけでなく、未来のEVスポーツカーに興味を持つドライバーにも魅力的な選択肢となるだろう。
ただ、世界限定1,980台で価格も2,000~3,000万円の予想がされており、おいそれと手に入るものでもない。
ルノー5のEVモデルは日本で発売されるのか
過激な5ターボ3Eも良いが、ルノー5は現地では3代目が既に2024年にデビューしており、2025年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー2025を受賞している。
以下では、3代目となるルノー5について、見て行きたいと思う。
ルノー5のEVモデル【E-TECHエレクトリック】

項目 | 諸元 |
---|---|
車全長×全幅×全高 | 3,920mm × 1,770mm × 1,500mm |
車重 | 1,450 ㎏ (52 kWh モデル) 、1,350 ㎏ (40 kWh モデル) |
モーター出力 | 70kW、90kW、110kW |
航続可能距離 | 52kWh:400km、40kWh:300km |
ルノーは、往年の名車「ルノー5」を現代の電動技術で復活させ、実に18年ぶりに新型EV「ルノー5 E-TECHエレクトリック」としてデビューした。
5 E-TECHエレクトリックは、オリジナルのルノー5のデザインコンセプトを受け継ぎながらも、最新の電動パワートレインを搭載し、ゼロエミッション車として生まれ変わっている。

5E-TECHエレクトリックの最大の特徴は、やはりレトロなデザインと最先端のEV技術を融合させた点。
オリジナルのルノー5が持っていた丸みを帯びつつもスクエア調なシルエットやコンパクトなボディサイズを維持しつつ、LEDヘッドライトや最新のエアロダイナミクス技術を取り入れることで、モダンな印象に仕上がっている。
さらに、インテリアにも最新のデジタルインストルメントパネルや大型ディスプレイが搭載され、EVならではの快適性や利便性となっていそうだ。


このように、ルノー5 E-TECHエレクトリックは、クラシックなデザインと最先端技術を融合させた次世代のEVとして、多くのドライバーに新たな選択肢を提供するモデルとなっている。
ルノー5 E-TECHエレクトリックの日本導入について
ルノー5 E-TECHエレクトリックの日本導入については、意外と多くの自動車ファンが注目している様で、Googleの検索ボリュームを見てみると毎月数百回検索されている様だ。
現時点では正式な発表こそないものの、ルノー・ジャポンは5E-TECHエレクトリックの日本導入を検討中とのことで、希望がない訳ではないだろう。
というより、5ターボ3Eが限定にも関わらず、日本にも導入されるのが確定しているので、ベースの5 E-TECHエレクトリックもそのうち日本に入ってくるだろう。知らんけど。

特に都市部ではコンパクトEVの需要が高まっており、現代の欧州車としては比較的小柄なルノー5 E-TECHエレクトリックのサイズ感や実用性は、日本の道路事情にも適していると言えるのではなかろうか。
結局、日本市場での導入が実現するかどうかは、今後の市場動向やルノーの戦略次第なので、ここであーだこうだ言っても仕方あるまい。
5E-TECHエレクトリックの価格について

5E-TECHエレクトリックの価格については、日本導入も決まっていないため、日本での販売価格も当然分かるものでもない。
ただ、現地市場では2.5万ユーロ(日本円で約405万円)から購入できる様だ。
参考までに現行の同社カングーが現地価格で2.9万ユーロ(約470万円)のところ、日本国内販売価格は419万円となっている。
そう考えると5E-TECHエレクトリックが仮に日本導入されたとしても400万円弱くらいの価格となるのではなかろうか。
また、国内であればEV補助金の恩恵にもあずかれるため、実質的な購入価格はさらに抑えられる可能性がある。
あとは、競合他社の同クラスのEVとしては、ミニのミニクーパーやフィアットの500e、あとはプジョーのe-208などの存在もあるため、それらと比較して5E-TECHエレクトリックがどの様な価格をとってくるかが消費者の判断材料となるだろう。


近年は70年代・80年代のスーパーカーの復刻が続々と発表されている
ルノー5ターボ3Eの発表を受けて改めて感じたが、近年の自動車業界では1970年代・1980年代のスーパーカーを現代の技術で復刻する動きが加速している様に感じる。
当時のスーパーカーは、個性的なデザインや革新的な技術によって多くの自動車ファンを魅了したが、それらのモデルが現代において新たな形で再登場するケースが増えているのだ。
この流れの背景には、クラシックカーに対する高い需要と、電動化技術による自由度の高さがあるのだと予想している。
70~80年代のスーパーカーは、現在でも熱狂的なファンが多く、中古市場では高騰が続いている。しかし、旧車ならではのメンテナンスの難しさや、環境規制の厳格化によって、当時のままの状態で乗り続けることは難しくなっている。
そこで、自動車メーカーは過去の名車のデザインを活かしながら、最新の電動化技術や安全技術を取り入れることで、当時のアイコニックなデザインを持ちつつも、現代の基準に適合した新たなモデルを生み出している。
キングオブスパーカーこと、ランボルギーニ・カウンタックも「LPI 800-4」として復刻されたし、グループBで活躍したランチア・037ラリーもEVO37として復刻された。


このような流れは、自動車文化の継承という観点でも重要である。
70・80年代のスーパーカーは、多くの自動車ファンにとって憧れの存在だった。
そうした名車が単なる過去の遺物として扱われるのではなく、現代の技術で再生されることで、新たな世代にもその魅力が伝わる。特に、電動化が進む中で、かつての名車がEVとして生まれ変わることで、過去と未来の架け橋となってくれるだろう。
今後も、こうした復刻モデルの登場は続くだろう。
技術の進歩や電動化により、クラシックカーのデザインを維持しながらも、環境性能や安全性能など現代の基準をクリア可能となってきたため、今後も、こうした復刻モデルの登場は続いていくだろう。