かれこれ3,4年前の話になるが、自動車専門誌を読んでいて、ふと目に入ってきた腕時計の紹介で度肝を抜かれたものがある。
私も腕時計が好きなので、アンテナを張ってちょくちょく新作などをチェックしているのだが、ここまで鮮烈に頭にこびりついて離れないのは、この時計だけである。
トゥールビヨンを4つ搭載した『イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 10』
世界最高の宝飾メーカーが生み出した革新的トゥールビヨンの形
世界最高峰のジュエリーブランドのハリーウィンストンが、時計事業にも進出したのが1989年と言われている。
腕時計大国スイスの老舗時計メーカーと比較すると歴史としては短い。
しかし、ハリーウィンストンは著名な独立時計技師とのパートナーシップ締結やスイスのジュネーブに時計工房を設置するなど、短期間で技術力を磨き、今では、オメガやブレゲなどに代表されるスウォッチグループの一翼を担う存在になっている。
とりわけ、『イストワール・ドゥ・トゥールビヨン』は究極のラグジュアリーを目指して、前古未曾有の革新的なトゥールビヨンの表現がなされているシリーズになっている。
そのシリーズの10周年目を飾る『イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 10』は、高い技術力を要求される時計三大複雑機構が一つ、トゥールビヨンをなんと4つも搭載しているモデルになる。

4つのトゥールビヨンはデフギアにより連結され、精度向上に寄与している
トゥールビヨンは、懐中時計が主流だった時代に姿勢差により時計としての精度が悪化しない様に考案された機構。
『イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 10』では4つのトゥールビヨンが、53.3mm×39.1mmと腕時計としては弩級サイズのケースに収められているが、強烈な見た目としてのインパクトだけでなく、しっかりと時計としての精度向上を目指した作りがされている。

左右それぞれのペアをデフで統合し、トゥールビヨン自体の誤差を統合・平均化。さらに、左右デフと連結するためのデフを中央に配置することにより、4つのトゥールビヨンの誤差は統合・平均化することにより高精度を実現する作りになっている。

なお、価格は税込みで1.1億円とのこと。
